第三十一章 奥州の暴れん坊
豊臣家の領地の半分が真田家の直轄領となった。秀頼は昌幸の軍門に下った。
「夢のようにござりまするな」
「これで儂は名実ともに天下人じゃの」
「残るは奥州の伊達、南部、九州の鍋島、島津」
「厄介な敵ばかりじゃの」
「戸沢殿より伊達政宗が度々領地を荒らしに来るという苦情が入ってきておりまするが如何致しましょう」
「ううむ、奥州の暴れん坊か。城は三つだけじゃが、早めに攻め滅ぼしておけば良かったかのう」
「今更言っても始まりますまい」
そうこうしているうちに戸沢家は伊達政宗の侵攻を受け、呆気なく滅ぼされた。
「しまった。手を打つのが一足遅かったわ」
「軍門に下るよう使者を使わしましたが、梨の礫。攻め滅ぼすしかござりませんな」
「よし、早急に武将達を集めよ。奥州伊達攻めじゃ!」
昌幸はじめ、信之・幸村兄弟、井伊直政、榊原康政、本多忠勝などの歴戦の兵達が、政宗の居城を攻め立てた。大量の鉄砲隊を組織した戦で、赤子の手を捻るように簡単に決着がついた。
「伊達家に鉄砲がほとんどなかったのが幸いしたわ」
「戦続きで国力が弱っていたのでしょうな」
「南部家も滅ぼした。これで奥州も我が真田家の領地となったわ」
「残るは九州のみとなりましたな」
「島津と鍋島が拮抗しとるの」
「互いに戦ばかりに明け暮れておりまする」
「その割には、らっぱからの報告によると、余り兵力が減じておらぬようじゃ。厄介じゃのう」