第二十四章 関白就任
その後も飛騨の高山城、能登の七尾城と立て続けに攻め、前田家は風前の灯火となった。
「ここら辺りで使者を立てては如何かと」
「あの前田家が応じるかの」
「応じるでしょう。兵力差は歴然としておりまする」
前田家は呆気なく真田の軍門に下った。
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「これで我が領地は格段に増えましたな」
「うむ。儂はいよいよ天下人を名乗ろうと思う」
「おめでとうござりまする」
一同「おめでとうござりまするー」
「天下人となったからには朝廷との繋がりも今以上に増すことよのう」
「一度挨拶に出向かれては如何でしょう」
昌幸は京に上った。御所の前での煌びやかな馬揃えは、京の公家や町人達を驚嘆させた。宮中に参内した昌幸は関白の位に任ぜられた。
「関白就任おめでとうござりまする」
「うむ、今日から儂は関白じゃ」
「しかし、こうなると気になるのが秀頼公のこと。秀頼公に先んじて関白の位に任ぜられたとあらば豊臣家からの反発も必至」
「今の所は同盟が続いておるが、期限が切れればいよいよ決戦じゃな。よし、各城主に申し伝えよ。武家屋敷を増設し、鉄砲を買い集め、兵力を蓄えておくこと」
「仰せの通りに」