第二十二章 朝廷工作
春、昌幸は朝廷への献上金二万を今川氏真に託し、京の都に派遣した。氏真の和歌や蹴鞠が功を奏して、朝廷との友好は鰻登り、「信州上田に真田家あり」と京の町で評判になった。
公家「他に何か用はおじゃりまするか?」
氏真「ははーっ。我が殿は官位を欲しておじゃりまする」
「朝廷も何かと物入りでのう。金七千五百で何とかなりそうなのじゃが・・・」
金の使い道について一任されていた氏真は迷ったあげく、承諾した。
数日待たされた後、宿泊先に朝廷から使者が訪れ、至急御所に出向くようにとのお達しがあった。
「お慶びくだされ氏真殿。お上のご下賜が下されましたぞ。昌幸殿に従一位、太政大臣の位を授けるとの事におじゃりまする。これからもお上のためにお働きくださるよう・・・」
「ハハーッ!有り難き幸せに存じ奉りまする!」
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同じ頃、信州上田城からは、関東東北の大名家を屈服させるべく、使者が四方八方に放たれていた。
「上様、申し上げまする。安房の里見殿が我が軍門に下られましてござりまする!」
「でかした!」
「結城殿、蒲生殿、堀殿、堀江殿もぞくぞくと我が配下につきましてござりまする」
忠次「いやあ、蒲生殿には何度も拒絶されましたが、ごり押しで迫った甲斐がござった」
「天晴れじゃ忠次殿。これで無駄な血を流さずとも済むわ」
「相馬と最上も我が軍門に下りました!」
更に数ヶ月後には里見家より使者が訪れ、家臣団に加えて欲しいとの申し出があり、里見家は正式に真田家の家臣団に組み込まれた。昌幸の領土は拡がる一方であった。