第十三章 天下布武
「父上、此度の戦は大勝利にござりましたな」
「これもそちの活躍があってこそじゃ」
「徳川家は徳川秀忠という者が跡を継いだそうにござりまする」
「秀忠か。まだ戦の経験もない二十歳そこそこの若造と聞くが」
「これで徳川家の戦力もだいぶ弱まりましたことでしょう」
「家康という大木を引き抜いたのじゃ。枝葉もやがては枯れてこよう。家臣の離反も考えられるな」
小姓「殿!一大事にござりまする!前田利長殿が丹羽長重殿の北庄城を包囲、攻め滅ぼしましてござりまする!」
「そうか、これで前田は北陸にある敵をすべて駆逐したことになるな。機内の豊臣家と飛騨の金森家とは同盟を結んでおるから関係は良好、じゃとすれば次に狙ってくるのは越後じゃの」
「家康の首は取ったといえども、うかうかとしてられませぬな」
「なあに、使者は送ってある」
「ただいま戻りましてござりまする」
「おお、高知か。どうであった」
「利長殿は頑固者にござりまする。梨の礫もございませぬ」
「同盟に応じぬか」
「貢ぎ物を受け取ろうともしませぬ」
「やはり徳川と通じておるのか…」
「父上、越後春日山城は矢沢殿に任せております故、万が一攻められても安心にございます」
「それもそうだな。彼の者なら前田が攻め込んできても追っ払ってくれよう。さて、家康も倒したことだ、儂は天下布武をいたすぞ」
「いよいよでござりまするか」
「そうじゃ、本拠地をここ上田城に定める」
「おめでとうござりまする」
一同「おめでとうござりまする」
「これでどんなに領地が離れていようと攻め込めまするな」
「徳川の残党が関東に残っておるから、これも駆逐せねばならんしの」