第十二章 宿敵との決戦
徳川本隊は大事を取って本営に入った。幸村隊と昌幸隊は本営を大きく迂回し、砦の攻略にかかった。そこへ本多正信の騎馬隊千四百が間隙を縫って昌幸の本陣めがけて突き進んだ。
「しまった!本営は空っぽじゃ!」
「ひけい!ひけい!本営を守れ!」
幸村隊と昌幸隊、それに千石秀久隊が本陣にとって返し、本多正信隊を背後から追撃。正信隊は混乱状態に陥り、あえなく壊滅。
「本多正信捕らえたり!」
「うう、無念・・・」
「よし、この勢いに乗じて砦を奪い取れ!」
多勢に無勢で、善戦した守綱隊もあえなく崩壊。砦はついに真田側の手に落ちた。
伝令「我が隊の士気が上がっておりまする!」
伝令「敵の部隊がみるみる壊滅していきまする」
「次は徳川本隊じゃ!」
幸村は馬上より大声を発した。
「皆の者よーくきけーーーい。家康殿はなぜ本陣から一歩も出てこぬのじゃ。上田城での合戦の折には我らが家康殿を撃退いたし候。狸が尻を丸めて逃げ帰って候。此度も我ら真田武士を恐れており候!皆の者、弱腰家康を笑い飛ばせーい!」
真田隊の誰もが音を鳴らしてゲラゲラと笑った。それに激怒したのは家康である。家臣の諫めるのも聞かずに具足を取り、本営から一騎のみで突進していった。配下の兵も家康の後から付き従ったものの、隊は乱れ、総崩れの様相を呈した。
「それ今じゃ!家康が出てきおったわ!取り囲んで揉み潰してしまえい!」
昌幸隊・幸村隊・頼康隊・長政隊が四方八方から家康隊を取り囲み、休みなく攻撃を加え続けた。
伝令「南に展開しておりました大久保忠隣隊に乱破を放ちました!隊は混乱しております!」
「そうか!よくやった!」
「殿!朗報にござりまする!徳川家康を捕らえましてござりまする!」
「なんじゃと?」
縄に縛られた徳川家康が昌幸の面前に引っ立てられてきた。
「くっ、無念じゃ」
「信じられぬわ。でかしたぞ幸村」
「はっ!」
「さて、家康をどうするか…」
「殿、家康は数々の謀議を図り豊臣家を陥れようとした大逆賊にござりますれば、ここは打ち首にしてしまいなさるのが肝要かと。石田三成殿もそれを望んでおいででしょう」
「致し方あるまい」
昌幸の命令で家康はその首を刎ねられた。