第七章 越後席巻
秋
「刈り入れも終わり、城の兵糧も増えたのう」
「とりあえず当面の戦には困らぬでしょう」
「さて、次の攻略は春日山城じゃな。幸村、戦じゃ」
*
「彼の軍神、上杉謙信公が根城でござりましたが、意外と規模が小さいですな」
「日根野弘就が総大将か」
「飯山城の千石久秀にござる。殿のご下命により兵五百を率いて罷りこしてござりまする」
「うむ、役目大義」
昌幸、幸村、久秀の総攻撃で春日山城の門は易々と破られ千石久秀率いる兵五百が突入したものの、城兵の反抗凄まじく瞬く間に兵は半減した。
「ひけぃ、ひけーーーい」
「後は儂に任せよ」
「おお、総大将日根野弘就自ら出てきたか」
「好機にござりまするな」
「よし、幸村と挟み撃ちじゃ」
戦上手の昌幸と強力な騎馬隊を率いる幸村の活躍で、日根野隊は呆気なく崩れ去った。
「父上、また勝ちましたぞ!」
「わしらは負け知らずじゃのう」
「春日山城を手に入れましてござりまする。いかが致しましょうや。このまま一気に堀家を滅ぼしてしまいまするか?」
「ううむ、越後は山深きところ故、出陣出来る武将がおらぬわ」
「次の季節に持ち越しでござりまするな」
「致し方あるまい」