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第三章 天下獲りの夢

昌幸「ふうむ。こうしてみると、わが領地は、徳川方に取り囲まれておるのう」

昌幸が案じたのも無理はない。北は越後から東は上野、武蔵、相模、南に駿河、遠江、尾張とすべて徳川方の城になっており、昌幸の座している信州上田をちょうど弧の字型に取り囲む形になっていた。

昌幸「まさに、袋の鼠じゃ」

昌幸は地図の南に視線を向けた。

昌幸「おう、ここに豊臣家の飛び地があるではないか。京極高次殿が守っておられる木曽福島城じゃ」

頼康「左様にござりまする」

昌幸「戦の折には援軍が期待できるの」

幸村「とはいうものの、木曽福島の辺りはあまり土地が肥沃でなく、武将の数も我が領地と同じ三名なれば、それほど期待は出来ませぬな」

昌幸「分かっておる」昌幸は扇子で地図を叩いた。「南に攻むるか、北に攻むるか、思案のしどころじゃの」

昌幸は子細に地図を眺めた。関東平野に葵の御紋が集中して並んでいる。

昌幸「十六年ほど前に我が上田城で煮え湯を飲ませた徳川家の城はと…、ひい、ふう、みい、よお、……なんと!7つもあるではないか!さすがは天下の古狸、旧北条家の領地、関東一円を支配しておる。強敵じゃのう」

幸村「うかつには手を出せませぬな」

昌幸「あたりまえじゃ!我が領地は肥沃といえども城はたったの一つ。家臣も幸村とそちを含めて三人しかおらぬ。それにいつ徳川が領地を狙って攻めてくるとも限らぬではないか。我が城と隣接しておる」

幸村「二木重吉が守る上野の高崎城でござりまするか」

昌幸「そうじゃ。七人も武将がおるではないか、その後ろには家康から友と呼ばれておる彼(か)の謀臣、本多正信の守る沼田城が控えておる」

昌幸は嘆息した。

昌幸「本能寺の時分にはこの辺りの領地に滝川一益殿がおられ、上杉の侵攻から何かと守ってくれたものだが、すでに病没したか。かの御仁の鉄砲隊は強力で、幾千の兵を手玉に取るように打ち破ったものだったが」

幸村「援軍は宛には出来ませぬ。自力で城を奪うしかござりませぬな」

昌幸「ううむ。此度のゲームでは、領内に攻められても近隣の城から出兵できるシステムになっておるから、がむしゃらに攻めて城兵が少なくなっても、そう易々と奪われる心配もないしのう」

幸村「兵糧だけはお気をつけくださりませ。兵糧が足りない場合、いざ敵方から攻められた時に、城兵が多くとも、出兵できませぬ」

昌幸「分かっておる。さて、北に攻めるか、南に攻めるか」

頼康「殿、我に一策あり。ここは他家を滅ぼして、一人でも多くの武将を生け捕りにし、自家に採用する方針をとりましょうぞ。さすれば動員できる兵力も増え、領内の内政にも回せまする」

昌幸「しかしそう簡単に我が真田家についてくれるだろうか」

頼康「心配無用にござりまする。取り込みに応じない場合でも、一度滅ぼして浪人をさせれば、たやすく仕官に応じてくれまする」

幸村「越後の堀家には武将が3人しかおりませぬな」

頼康「甲斐信濃の浅野家には7人も武将がおりまする」

昌幸「甲斐信濃と言えば、我が父幸隆が主人、武田信玄公の旧領じゃのう。彼の御仁が上洛の途上、かねてより患っていた病で急死した後は、勝頼公がお家を継いだが、長篠の合戦で織田徳川連合軍の鉄砲隊に大敗を喫してからというもの、家臣の離反もあり、ついには信長公に滅ぼされた」

昌幸はじっと地図の一点を睨んだ。しばしの沈黙の後、扇子の先で地図を叩いた。

昌幸「よし、決めた! これより真田家は、我が旧主武田信玄公の旧領を回復すべく、南進を方策と致す。まずその手始めに徳川方についた浅野長政、これを攻め滅ぼしてくれん。幸村、戦じゃ!」