第四章 東美濃岩村城攻略
「なぁ信幸」
「なんに御座りましょう」
「東美濃の岩村城じゃがな。先日あすこから敵が攻めてきたであろう」
「ははっ」
「どうやら敵の兵が減っておるようじゃ」
「左様にござりまするか」
「それにのう、あの城、武田攻めの準備をしておる最中じゃったから、馬鉄砲がたーんと仕舞ってあると忍びの者が報告にまいっての。一五〇〇〇ずつあるそうじゃ」
「それは結構な事に御座りまするな。攻め取ってしまいまするか」
「木曽路を一気に南に下ればそれも可能じゃが、問題は家康と北条じゃ。儂の留守を狙うかもしれん」
「ははぁ、確かにこちらの兵力も余裕が御座りませぬからな」
「鈴木重則に海津城の兵四〇〇〇を上田城に移すよう命じよ」
「かしこまりました。陣立てはどのように致しましょう」
「儂とそちと、あと幸村、矢沢頼康殿にも申しつけよ。念のために頼綱殿には留守居役を任そうとおもうておる」
「承知つかまつりました」