第一章 信州上田に真田在り
山深き信州上田城の城主、真田昌幸は思案に暮れていた。
昌幸「木曽義昌が信長に寝返ったそうじゃ」
幸村「何と!?亡き信玄公の姫君を娶った義昌殿が??とうてい信じられませぬ……」
昌幸「恐らく近いうちに信長は甲斐攻めの手筈を整えるであろう。我らは何としても勝頼様をお守りせねばならぬ。勝頼様には岩櫃城にお越し頂いて時節が来るのを待って貰おうと思っておる……」
信幸「それは結構に御座りまするが、果たして勝頼様は我らを信用するでしょうか」
昌幸「信幸……、そちの存念を申してみい」
信幸「はっ!我らは祖父幸隆様以来の外様の家臣なれば、譜代の家臣である岩殿山城主の小山田信茂殿を頼られるのではないかと」
昌幸「ふふっ、我らは外様か。負け戦知らずの信玄公が三度攻めても落とせなかった村上義清の城を攻め落とせたのも我が父の裏での働きあってこそじゃ」
信幸「御意に御座りまする」
「まぁよいわ。勝頼様の好きになさるが良かろう。さて、我らのことじゃ。我らはどのようにしたらよいものかのう」
「まずは領地を開発なされませ。信濃一帯は我が領地となっております故、存分に開発できるでしょう」
「海津城の矢沢頼綱殿と頼康殿を上田城に呼び寄せましょう。上杉とは同盟を結んでおりますゆえ、攻め取られる心配は御座りませぬ」
「それと、ご子息の信幸殿を探索に当たらせては如何かと」
「よし、頼んだぞ、信幸」
「ははっ!」