第十四章 徳川征伐
「おや?三河への途上にある飯田城の兵が空っぽじゃの」
「獲っておきまするか」
「うーむ、如何したものか。獲ったら獲ったで守りの兵もいるしのう」
「では獲ってから廃城になされては」
「それも勿体ない。それに飯田城は家康が一夜で築いた城と聞くぞ。どうせまた築かれるわ」
「では如何いたしましょうや」
「三河への押さえとして信豊叔父に三千の兵を与え守らせるか。家康もそう易々とは北上できるほど余裕はないようじゃの」
「目下の所我が同盟国の織田家長浜城を攻めているところにござりまする」
「では信豊叔父に任せるか」
兵のいない城は呆気なく開城し、武田信豊が入った。
「敵のいない城を落とすのもまた格別じゃのう」
「それはそうと勝頼様、そろそろ美濃方面に兵を展開しては如何かと。今徳川方が織田家の城を攻めている最中にござれば、美濃尾張は手薄にござる、易々と手に入りましょうぞ」
「儂と織田とで徳川を挟み撃ちか」
「左様にござりまする」
「三河遠江と志摩の漁港を支配下に置いておるそうじゃの」
「徳川を滅ぼせば、優秀な家臣団も手に入りまする」
「とりあえずは美濃の岩村城に兵を集めるか。よし、信茂、戦じゃ」