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第十五章 真田昌幸の策略

佐竹衆と昌幸・幸村親子率いる真田軍団を引き連れた勝頼は、駐留していた岩村城より美濃方面に攻め入った。およそ4万の赤き軍勢が岐阜城を包囲、城主本多忠勝は抵抗するものの城は1月を待たずに落ちた。

「尾張清洲城は千の守備兵しかござりませぬな。戦勝の勢いに乗じて攻めまするか」

清洲城へ攻め入ったものの、本国三河より徳川家康が出陣、井伊直政の奇襲に翻弄されつつも、何とか攻め落とした。

「さすがは三河武士にござりまする。こちらの兵もかなりの数が傷つきました故、次の戦を仕掛けるにはしばし休息が必要にござりまするな」

「しかしこれで徳川は袋の鼠となり申した。相模小田原城に兵4万、甲斐躑躅ヶ崎館に兵2万が駐留してござれば、挟み撃ちにすれば一挙に二つの領国を手に入れることも可能かと」

「本国三河の兵は七千か」

「駿府城には3万余の兵がござりまする。これがちと厄介ですな」

「何かいい案はないか」

昌幸「私めにお任せ下され」

「おお、これは稀代の策士昌幸ではないか。何か良い案があると申すのか?」

「ははっ!まずは尾張方面より三河へと勝頼様自らが三万五千の大軍を率いて兵を進めまする」

「ほうほう」

「おそらく家康は駿府城の三万の兵を三河救援のために動かすでござろう。さすれば駿府城はほぼ空になったも同然。甲斐と相模より総勢4万の大軍で駿府城を取り囲みまする」

佐竹「して、我らが部隊はいかように動かしまするか」

「三万の救援部隊が岡崎城に入城すれば、例えわが軍が四万といえども勝ち目はござらぬ。城攻めには敵の兵力の五倍は必要といわれております故。従って、敵方の救援部隊が岡崎城に入城したのを見届けた後、兵を引きまする」

「してその後は」

「岡崎と駿府とはかなりの距離がござりますればそう易々とは駿府に引き返すこともままなりませぬ。万が一引き返したとあらば、ふたたび勝頼様自ら大軍を率いて三河に攻め込みまする」

「陽動作戦じゃな?」

「左様」

「今は亡き信玄公が三方原の戦いで徳川をおびき出したのと同じにござりまするな」

「さすれば此度の一戦で、長篠の汚名を返上できまする」

「よし!そちの案を採用するとしよう!さっそく戦の準備にかかれい!」

「御意!」