第十一章 関東平定
「さて、佐竹衆を倒した。次はどこに攻める」
「宇都宮城でよろしいでしょう」
「その前に新たな同盟を築かねばならん。近頃は戦続きで技術の研究を怠っていた故」
「関東平定も目前にござりまするな」
「西の織田家はどうしておろうかのう。あの忌々しい織田家は」
「徳川の軍勢に攻め押されてござりまするな」
「信長亡き後は手切れたか」
「しかし織田の鉄砲技術は目を見張るものがある。是非とも我が手中に収めたいものよ」
「では穴山梅雪殿をお使者に立て同盟を結びましょう」
「よし、頼んだぞ梅雪」
「ははっ!」
西の織田家との同盟交渉の間に、勝頼は軍団を二つに別け、勝頼率いる武田騎馬軍団は宇都宮方面に、佐竹衆には上野方面に向かわせて箕輪城を攻めさせた。
「宇都宮城が我が手に落ちた。佐竹衆に攻めさせていた上杉の箕輪城も落ちたな」
「これで関東一帯は我が武田の支配下となりましたな」
「おめでとうござりまする」
「うむ。とはいうものの、上杉は度々我が領地に進入してきおるし、北にはあの独眼流政宗がおる」
「申し上げまする!上杉勢が箕輪城に攻め込んでござりまする!」
「やはりきおったか」
「如何なさいましょうや」
「宇都宮城の那須資晴に箕輪城の救援を命ぜよ」
「ハハッ!」
「上杉を防いだ後はそのまま箕輪城に入城、佐竹衆と合流して北方の沼田城を落とせ。兵を増強して越後攻めの手筈を整えよ」
「かしこまってござりまする!」
「信茂、儂はそろそろ上杉征伐に乗り出すぞ」
「総出にござりまするな。上杉の領地会津の城は、我が騎馬隊と幾たびかの合戦を繰り返している内に、かなり弱ってきている様子にござりまする」
「沼田城を落とせば上杉の根城春日山城も目と鼻の先じゃ。北陸に領土を拡大しているせいか、守備も手薄になっておるの」
「真田は如何致しましょう。躑躅ヶ崎近辺の村の者の報告に寄れば、真田の間者とおぼしき者どもが一揆を煽動していたとか」
「真田家は幸隆以来の譜代の家臣じゃ。攻むるには心が痛むわ」
「暫く様子見ということでよろしいでしょうな」
「うむ!」
越後領内に攻め込んだ武田騎馬軍団と佐竹衆は春日山城を落とすと、勢いを緩めることなく柿崎港も奪取し、新発田城をも席巻した。越後は完全に武田の支配下となった。
「上杉の残党は北陸へ逃れましたな」
「とはいうてもこちらも兵の損傷が激しい。しばらくは休養が必要じゃろう」