第十章 二木重吉の活躍
一方久留米方面では……。
伝令「申し上げまする!二木重吉殿!討死!」
勝頼「そうか、よくやった重吉!」
「久留米城内は突然の急撃に混乱を極めておりまする」
「一万八千の軍勢で攻め立てておるのじゃ、すぐに落ちるわ」
拠点を攻撃していた部隊は氏邦率いる騎馬鉄砲隊に足を取られて久留米城の救援に間に合わなかった。残っていた兵も勝頼の騎馬隊に蹴散らされ、久留米城は容易く落ちた。
「よし、このまま戻ってきた佐竹の四隊を氏邦と挟み撃ちじゃ!」
武田隊は結城城へと退却する佐竹隊を両側から挟み撃ちにした。
伝令「殿!一大事にござりまする!上杉勢が岩附城に向かって進軍中!」
「急げ!さっさと佐竹隊を蹴散らせい!!」
騎馬鉄砲隊と騎馬隊の挟撃に遭い、佐竹隊は壊滅。散り散りになった。
伝令「上杉勢が既に岩附城を攻撃中にござりまする」
「よし!このまま取って返して上杉を蹴散らしてくれようぞ!」
仁科隊と小山田隊の活躍もあり、八千の守備兵を抱える岩附城は総勢二万五千の敵の猛攻を防いでいた。そこへ勝頼隊と氏邦隊が駆けつけたために上杉勢は退却した。
「これで安房を完全に我が手中に収めたな」
「次は下野の結城城にござりまするな」
「その次は上野の宇都宮城か。となると北国にも戦線が広がりまするな」
「西の徳川家康を何とかしたいものだが…」
「伊達家との同盟も手切れとなりましたし、新たに他家と同盟を結んでみては」
「津軽家は攻城兵器の技術に優れておるそうじゃ」
「攻城兵器でしたら、久留米城下にござりまするぞ」
「おお、そうであったか。ではわざわざ僻地の大名と同盟する必要もないか。使者が帰ってくるのに時間がかかるからな」
「真田家と再び同盟を結びまするか」
「真田は相変わらず信濃でへばっておるか」
「恐らく上杉と同盟を結んでいるかと思われまするが、南と西に徳川や織田がおるので出るに出れんのでしょうな」
「甲斐の国に攻め込む気配は今のところはないな」
「真田親子を敵に回すと恐ろしいからの。さすがのお屋形様も分かっておいでじゃ」
「ふん!軽口が過ぎるぞ。さてと、佐竹を攻めるとなると出城を築く必要があるな」
「久留米城は手中に入りました故、今回は巧く築けましょう」
出城が出来上がると、勝頼率いる騎馬隊は佐竹領に侵入。主要な城を落とすと、佐竹衆を配下に加えた。