第十六章 武田包囲網
箕輪城より出立した内藤昌豊の部隊を待たず、宇都宮城は呆気なく落ちた。内藤隊はそのまま足利持氏の守る足利御所へと向かい、晴信本体も宇都宮城に山本勘助を残し、そのまま騎馬隊二万を率いて、関東南部の下総の国へと向かった。
飯富政景「殿、またしても一大事に御座りまする」
「今度は何事か」
「同盟期限の切れた北条家が武蔵の城より兵一万五千を率いて甲斐躑躅ヶ崎館に向けて進軍したとの知らせが山本殿より参っておりまする」
「仕舞った!油断しておったわ!」
政景「八王子城には北条の兵三万が駐留しておりましたな」
「参ったのう」晴信は手で額を打った。
伝令「殿ーーー!!!殿ーーーー!!!!一大事に御座りまするーーー」
「今度は何事か」
「佐竹義重率いる一万五千の兵が宇都宮城に向けて進軍とのよし!」
「しまった!すぐさま内藤に伝えよ!兵を返して宇都宮城に入城せよと!」
「承知!」
「大丈夫に御座りましょうや」
「勘助が守っておるし、武名誉れ高い上杉の旧臣もおるから心配は無用じゃろう。さて、甲斐にたかろうとしておる蝿をどうするかじゃ」
「越後の新発田城におわしますご嫡男の義信殿とおぶ虎昌殿をさっそく甲斐に向かわせましょう。加えて深志城にいる保科正俊殿に騎馬隊八〇〇〇を率いさせ、躑躅ヶ崎館に救援に向かわすのが上策かと」
「槍弾正の正俊か。逃げ弾正の源五郎はどうしておる」
「馬場信房殿と共に耳覆いの研究に勤しんでおりまするゆえ、戦には出られませぬ」
「後何日かかる」
「おそらく二〇〇日程度かと」
「何としても敵を深志城に近づけさせてはならぬな」
「御意」