第五章 越後の龍
「箕輪落城、おめでとうござりまする」
「うむ、そちらの働きあってこそじゃ」
「ありがたきお言葉、勿体のうござりまする」
「さて、上野一帯は我が武田の領地となった。これよりいかが致すか、皆の意見を聞いてみたいと思う」
「上杉政虎はどうしておる」飯富虎昌が尋ねた。
高坂昌信「現在は山形城におりまする」
「山形城か」晴信は意表を突かれたように言った。「最上義光を下したというのか」
「そのようにござりまする」
「風のように速き軍勢じゃのう」
「お屋形様」
「何じゃ勘助」
「今が絶好の好機かと心得まする」
「越後攻めのことか」
「ハハッ!」
「らっぱの者から報告が入っておりまする。春日山城には九〇〇〇の兵しかおらぬとのこと」
「九〇〇〇か」
飯富「我が方には箕輪城に二万、深志城には一五〇〇〇の兵がおりまするな」
「政虎が山形に出払っている隙に越後を攻めるか」
「まずは上杉の拠点、春日山城を落とすが肝要かと心得まする」
「城主はたれじゃ」
「安田長秀」